堺市立総合医療センター
Customer Success story電子カルテ端末を削減し、4,700万円のコスト削減を試算。
医療の現場を支えるリモート活用事例
地方独立行政法人 堺市立病院機構
堺市立総合医療センター
- 利用規模
- 100ユーザ
- 利用用途
- 電子カルテの閲覧・操作
|
DX推進センター 情報システム課 |
DX推進センター 情報システム課 |
- 導入前の課題
-
- 電子カルテ端末のライセンス費用や運用・更新コストが大きな負担だった
- 利用頻度が低く常に使う必要のない場所にも電子カルテ端末が設置されていた
- オンプレミス環境でも使用できるリモートアクセス製品が求められていた
- 導入後の効果
-
- 電子カルテの実端末を85台削減でき、約4,700万円の大幅なコスト削減を実現
- 3段階の認証による強固なセキュリティを確保しつつ、リモートで接続できる環境を実現
- 春に入職する新入職員への電子カルテ操作教育にも有効活用できた
01 導入前の背景や課題
500床規模の大型医療機関を、デジタルから支えるDX推進センターの役割
| はじめに病院の概要と、DX推進センター情報システム課の役割をお聞かせください。
西尾さま:当院は、堺市を中心とした南大阪エリアの中でも中核を担う病院で、総病床は479床(一般病床472床、感染症病床7床)を擁しています。高度急性期医療に加え、災害・救急医療の拠点でもあり、救命救急センターとして三次救急まで受け入れています。登録されている患者さんのカルテは70万件以上あり、他の市町村と比べてもかなり多い部類だと思います。2023年には開院100周年を迎えた、伝統のある病院です。
私たちが所属するDX推進センターは、2026年度に新しく立ち上げられた組織です。当院には診療局、看護局、薬剤・技術局、事務局という4つの局があり、その各局から人が集まって院内のDXを横断的に進めていくことがミッションとなっています。
その中にある情報システム課は9名で、システムの運用保守から院内の電話などのインフラ、PCのトラブル対応まで幅広く担い、業務の効率化やデジタル化を進める役割を期待されています。
| RemoteView導入以前、電子カルテ端末の運用にはどのような課題がありましたか。
西尾さま:一番の課題は、電子カルテ端末の運用・更新コストでした。当院の電子カルテ端末は、当初900台ほどでしたが、職員の増加やコロナ禍を経て、更新前にはピークで1,050台以上にまで膨らんでいました。一床あたり電子カルテ端末が約2台もある計算で、同じ規模の医療機関と比べても潤沢すぎるほどでした。電子カルテのライセンスは台数のレンジで費用が決まるのですが、ちょうど1,000台を超えてしまっていたため、運用コストが大きな負担に感じていたのです。
加えて、半導体不足や円安の影響で、PC本体の価格が前回の更新時と比べて何倍にも上がっていました。値上がりはある程度見越して予算を組んでいたものの、その予算の域を超えるほどの上げ幅だったことが、直近の大きな悩みでした。
| 電子カルテ端末の使われ方について、どのような課題を抱えていたのでしょうか。
西尾さま:端末ごとの電子カルテの利用状況を調査してみると、利用頻度の低い端末がかなりありました。たとえば夜間や休日に勤務する医師や看護師、医療スタッフが呼び出しに備えて待機する当直室にも端末が設置されているのですが、当直室内で電子カルテを見なければならない場面がどれだけあるかというと、実際にはそう多くないことが分かりました。また、事務員についても、ほかの業務をしながら必要なときだけ電子カルテを使うことが多く、常に使える状態でなくても困らないことが判明しました。あまり使っていない場所に、高価な電子カルテ端末を置き続けるのはもったいないと感じていたのです。
02 選択のポイント
電子カルテの刷新をきっかけに、リモート端末の導入を検討
| RemoteViewを知ったきっかけと、検討を始めたタイミングを教えてください。
西尾さま:きっかけは、電子カルテの刷新でした。当院の電子カルテは2018年10月に導入したものが 第3期目で、昨年(2025年)11月の更新が第4期目にあたります。この更新のタイミングで、端末コストをどう抑えるかを本格的に検討し始めました。
その過程で自分たちで情報を収集しながら、代理店からご紹介いただいたのが、RemoteViewです。院内のPC向けにリモートアクセス製品を導入するのは今回が初めてであったことから、製品選定は慎重に進めていました。
| 他社製品とも比較検討されたと伺いました。どのような観点で比較しましたか。
西尾さま:はじめに他社のリモートアクセス製品を試し、その次にRemoteViewを検討しました。比較検討としてまず見ていたのは、そもそもトライアルができるかどうかです。リモート系の製品は、基本的に画面を映すだけで接続先の端末の動きには介入しないため、電子カルテに影響しないことは理解していました。それでも電子カルテをセッティングして、実際の操作感やラグがないかなどを試してみたかったのです。
決定的だったのは、ライセンスの料金体系でした。企業であれば、社員1人につき1台のPCが支給されますが、医療機関では1台のPCをいろいろな職員が使いまわします。そのため、アカウント単位の従量課金であった他社製品では、当院だと1,000人を超えるアカウントが必要になる計算で当院の使い方には合わなかったのです。これではコストを抑えることはできず、むしろ費用が膨らんでしまいます。
決め手は、医療機関にあった料金体系とオンプレミス環境でも使用できること
| 最終的な決め手をお聞かせください。
西尾さま:RemoteViewが、医療機関の使い方に合った料金体系になっていたことが大きな決め手です。1台の端末を複数の職員で共有するという当院の使い方と、端末台数での課金がぴったり合っていました。
もう一つは、オンプレミスのネットワーク環境で使えることです。他の製品はインターネットやクラウドを使うものが多いのですが、オンプレミスで動かせるのは珍しいラインナップだと感じました。医療機関は、患者さんの個人情報を扱う関係で、いまも閉域ネットワークとオンプレミスという環境が一般的です。
RemoteViewは医療機関の環境にしっかり当てはまりました。導入にあたっては当初サーバーを購入する予定でしたが、当院の仮想サーバーの中で必要なスペックを確保できたため、物理サーバーの費用も抑えられています。セキュリティの面でも、RemoteViewのIDとパスワード、端末にログインするためのIDとパスワード、さらに電子カルテのパスワードと、3段階の認証がかかるため安心です。
03 製品の活用について
実端末とリモート端末の併用。導入・運用コストを抑えた工夫とは
| 導入はどのように進めましたか。
前川さま:主に私が最初にセットアップと登録を担当しました。リモート接続元の端末には、更新前のPCをそのまま使い続けることでコストを抑えています。
その後、電子カルテの導入・推進を担う委員会に参加されている方々に協力をお願いして、一部の現場で実際に使っていただきました。検証期間は2〜3か月ほどで、実際に電子カルテを使ってみて、普段の利用と違いがないかを確認していきましたが、ほとんど問題はありませんでした。
構築自体もリモートで進められたので、電子カルテの更新でこちらが慌ただしくしている合間に、気づけば使える状態になっていた印象です。トライアルを技術検証の期間としても活用できたのは、本当に助かりました。
| 現在、どのような場所・シーンでRemoteViewを活用していますか。
西尾さま:医局や図書室、当直室、事務室、それから臨床検査室や病理検査室といった検査部門などの端末に導入しています。また、検査部門の部屋では、部門システムは実機、電子カルテを使うときはリモートという使い分けをしています。
私たち情報システム課の職員も、以前はそれぞれ電子カルテ用の端末を別に持っていましたが、いまはすべてリモートにして、手元の1台からどこでも電子カルテを閲覧できるようにしました。打合せ時に現場へ持ち運びできるため非常に便利です。
現場導入を推進した工夫やルールの設定。新入職員の教育にも活用
| 台数削減にあたり、現場の理解はどのように得ましたか。
前川さま:最初はやはり、実端末を減らすことに対しての反発はありました。ただ、端末ごとの利用率や、病床数に対する端末数といったデータを示しながら説明したことで、最終的には納得していただけています。
また、伝え方も工夫しました。「実端末の台数を減らします」とストレートに伝えるのではなく、「電子カルテを見るときだけはリモートを使ってください」という伝え方にしたことで、現場の方々に受け入れていただいています。
| 運用面のルールや院内へ浸透させる際の工夫、教育での活用はありますか。
前川さま:共有して使う端末なので、電子カルテのサインアウトについてのルールがあります。自分のIDで入ったまま、RemoteViewだけを閉じてしまうと電子カルテにログインしたままになってしまうので、そこだけは徹底してお願いしています。
RemoteViewの使い方については、まず院内ポータルサイトの掲示板で利用方法を周知しました。一度だけでなく何回かに分けて掲載し、現場に行き渡るようにしています。使い方をまとめたマニュアルをリモート端末の近くに置いておき、わからないときはそのマニュアルを見ながら操作できるようにしました。特に勉強会のような場を設けなくても問題なく使えており、たまにヘルプデスクに質問が届く程度です。
西尾さま:新しく入職した職員への教育にも活用しています。当院では4月に100名近くが入職しますが、以前は操作教育のために電子カルテ端末をずらりと並べる必要がありました。いまはリモートでできるので、前回の更新時のPCを接続元として残し、そこからつないで操作を覚えてもらっています。まずRemoteViewの使い方を覚えてもらい、そこから電子カルテを使っていってもらう、という流れです。
04 導入後の成果と今後の取り組み
実端末を85台削減できた結果、4,700万円ほどのコスト削減を実現
| 導入の成果をお聞かせください。
西尾さま:RemoteViewにしたことで、電子カルテを入れる端末を約85台減らすことができました。端末が減れば電子カルテのライセンス代が減り、合わせて関連するソフトウェアなどの費用も減ります。電子カルテ端末1台あたり、ライセンスやソフトウェアまでを含めると1台あたり約40万円ほど必要です。削減できた台数とそれに係る諸費用を計算すると4,700万〜5,000万円ほどのコスト削減になりました。
| 現場からは、どのような声がありますか。
前川さま:私たち自身が使っていても、インターネットにつながる1台の事務用端末から電子カルテも見られるので、本当に便利です。これはもう、何にも代えられないと感じています。
以前の電子カルテ端末はノート型でしたが、ごつくて重く、持ち歩きにくいものでした。いまは比較的スリムなノートPCからつなげられるので、とてもよいですね。机の上のスペースの削減にもなっています。
実端末からリモート端末への反発を乗り越えるカギは、慣れと時間
| 今後の展望をお聞かせください。
西尾さま:直近ではタブレット端末の導入を検討しています。院内をラウンドする感染対策チームからタブレット端末を使いたいとの声があり、これまでPCを持ち歩いていたところを、RemoteViewを導入したタブレット端末に置き換えていきたいと考えています。
RemoteViewの導入自体は、まずは思っていたところまで到達できたという感覚です。次に大きな山が来るとすれば、外部から使う場面でしょうか。在宅勤務はまだハードルが高いのですが、技術的には拡張の余地はあると考えています。
| 最後に、同じ課題を持つ医療機関の情報システム・DX推進ご担当の方へ、メッセージをお願いします。
西尾さま:実端末を使い続けてきた現場であれば、最初はリモート端末に対する反発もあると思います。しかし、セキュリティが担保され、どこからでも電子カルテにアクセスできる環境が整えば、あとは慣れと時間の問題です。とくに院内でPCを持ち歩いているスタッフにとっては、とても便利になるはずです。私たち自身が便利に使えているシーンも多いので、他の医療機関にもおすすめできると思っています。
正常稼働中 最終更新日 | 08/03 01:15